フランス / パリ ひぐま サン=タンヌ通り店 チャーシューメン 8.50ユーロ
フランス、パリ。花の都、古都、芸術の都として有名ですし、いわずもがなヨーロッパ文化、歴史の中心的な都市のひとつです。まったくパリに行ったことがない人だとしても、シャンゼリゼ大通りやエトワール凱旋門、エッフェル塔、ノートルダム大聖堂、ルーブル美術館あたりはパッと名前が出てくるのではないでしょうか。フランスという国を想像するとき、誰しもがまず思い浮かべるであろう街、パリ。あなたの想像の中にあるパリは、どのような色彩、どのような光景で描かれているでしょうか。古く美しい建物。歴史的建造物。芸術と歴史に彩られた街は、とても華やかで憧れの対象だと思います。
フランス、パリ。わたしにとっては、ラーメン屋がいっぱいある街、パリ。ラーメン屋の他には、地下鉄はちょくちょく止まり、街は汚く、物価は高く、道は狭く路地は入り組んでいて、いつも何かと騒がしい街、パリ。立ち止まってスマホで調べ物をしていると歩いてきた人がこちらに不自然にもたれかかってきて、その人を避けようとした隙に後ろに回った仲間がコートのポケットに手を突っ込んでまさぐってくる街、パリ。地下鉄で席が埋まっていて、車両の端っこのスペースで持ってきていた自分のスーツケースに座っていたらわたしごと蹴っ飛ばされた街、パリ。ガール・ドゥ・レスト(パリ東駅)のタクシープールでパッと見ちゃんとした大手会社のタクシーに乗ったらこちらがフランス語が喋れないと分かるとメーターストップをして手書き領収書でたった10分の走行で89ユーロ(13,000円くらい)払えって言ってくる街、パリ。SNCF(フランス国鉄)の自動券売機を操作していたらチケット代と飲み物を恵んでくれって感じのジェスチャーと声を掛けられ、無視していたら丸めた雑誌のようなもので頭とお尻と叩かれ何言ってるかわからないけどたぶん罵詈雑言であろう言葉を浴びせられた街、パリ。まだまだエピソードはありますがこの辺にしておきましょう。この記事の本筋と関係ないですから。パリ。憧れの街です。
まだわたしがヨーロッパに行く前、Twitterでとあるテレビのキャプチャ画像がウケていたことがあります。それは、ジャンヌ・ダルクの軌跡を伝えるドキュメンタリー番組での一コマ。パリの路地を映した映像に、「ジャンヌ・ダルクが負傷した場所」とテロップが付けられています。その路地はたまたま「ひぐま」というラーメン屋が出店しており、荘厳な雰囲気の番組内で唐突に出てきたラーメンと書かれた真っ赤なのぼりや庶民的な雰囲気に脱力してしまうというものでした。今でもたまに貼られていたりするので、検索すればすぐ出てくると思います。わたしはこの画像を何故だかよく覚えていて、パリに行ったらひぐまでラーメンを食べよう。ジャンヌが負傷した場所でラーメンを食べよう。と決めていました。
ネットでよく見る例の画像と見比べて頂けるとすぐわかると思うんですが、この「ひぐま」、移転後の店舗なんです。例の番組が放映された当時、サントノーレ通りのまさにジャンヌが負傷した場所に出店していましたが、現在はそこから北に100m程度のサン=タンヌ通りに移転してしまっていたんですね。なので、実際にこのお店に到着したとき、あれ……?なんか見知った画像とは雰囲気も路地の大きさも何もかも違うな……と感じました。
ひぐま(サン=タンヌ通り店)チャーシューメン 8.5€
フランス/パリ 32bis Rue Sainte-Anne, 75001 Paris
日本語 不可
さてラーメンです。本来の「ひぐま」は札幌ラーメンのお店なので味噌メインのお店ですが、ここは醤油ラーメンが基本。物価の高いパリにおいては、8.50ユーロでお腹いっぱいになれるのはものすごく安くていいですね。味についてなんですが、語弊、誤解の無いように先に行っておくと誉め言葉としてお伝えしますと、まるで高速道路のSAとか、高校とか大学の学食で出てくるようなラーメンです。スープも麺もそういう感じ。懐かしさとか、妙なチープさとかパリの街角でこれを食べてるっていう非現実感も相まってとても旨く感じますが、冷静になって振り返ると別にそこまで美味しい訳じゃないと気づかされます。でも十分な味。不満点はほぼありません。
パリにはたくさんのラーメン屋さんがあります。日本人街(アジア人街区)が形成されており、様々なお店やスーパーがそこに集まっていて手軽に日本の食材を手に入れることもでき、ドイツの片田舎に住む身としてはとても羨ましいと思う反面、パリで暮らしていくというのはちょっとご勘弁願いたいなあとも思ったりします。